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2006年7月 6日 (木)

人生のスルーパス

ナカタ(仮名)が引退するらしい。

実はどうでもいいので、引退するなら勝手にしろと言いたいのだが、多少考えたことがあるので、それを書いてみたい。

現実的には、ナカタは引退するしかなかったのかもしれない。日本→イタリア→イギリスと流れていったが、近年はどのクラブでもレギュラーとは言い難かったし、ケガとかで満足なプレーもできていなかった。「給料泥棒」「失望した」といった非難も多く、ただえさえ移籍金の高いナカタを引き受けるところはなかったのではないか。今さらJリーグにも戻ってこれないだろうし(大リーグで失敗している藪の堕ち方にも似ているな)、NYにビルを持ったり東鳩の社外取締役をやったりしているらしいので、食うには困らないわけだ。まあ、サニーサイドアップのバカ社長も、今なら商品価値が落ちないとふんだのだろう。プレミアリーグに戻って「不良債権」として粗雑に扱われて商品価値を落とすよりは、よほどいいだろうし。

えーと、実は偏屈先生が言いたいことはそんなことじゃないんです。

問題は、ナカタのパスを誰も受けられなかったってことだな。

どうも、ナカタには独特の美学があるような気がする。つまり、彼が頭に描く理想の「プロの姿」を、何時いかなるときでも追い求めるというか……。日本代表でもセリエAでもプレミアリーグでもあったのだが、ナカタのパスに誰も追いつけず、結果的にミスパスになるケースが多い。それがナカタのパス精度が落ちたと言われる由縁なのだが、先生にはちょっと違うように見えるのである。つまり、ナカタは「プロならばこのパスに追いつくべきだ」という意識で、あえて厳しいパスを出していたのではないか、ということである。ナカタ自身はそれなりの努力もしたし、センスもあったのだろう。彼自身の能力や成功のイメージからすれば、周囲も少なくとも彼と同様の努力をして、「同じプロ同士」でレベルの高いプレーをするべきなのである。ナカタ自身は「このパスに追いつけなければ世界では勝てない」くらいに思って覚悟のうえでパスを出していたはずだ。しかし、結果的に周囲はナカタに追いつけなかった。

これは、前回にも書いたジーコ(仮名)の無責任発言と似ている。つまり、ジーコの中では、プロのレベルはそういうものだったのである。プロならば、これくらいは達成しておくべきで、それができていない時点で選手側に大きな問題があると言いたいのだ。

これは、確かにその通りではある。……しかし、もしそうでなかったらどうするのだ? ひたすら同僚の能力の無さを嘆くのか? それでラチがあくのか?

ナカタは、何をしたのだろう。彼は確かに一生懸命やった。彼の理想は確かに「世界の舞台」では常識である。では、それを知らない選手が悪いのか。彼は、どういうメッセージを他の選手に投げかけたのか? どのようにコミュニケーションを取って、彼の(世界の)理想を伝えたのか?

結果的には、彼は自分のプレーには責任を持った。しかし、サッカーは組織の戦いである。彼がその意識をチームに植え付けられなかったとすれば、それは彼の敗北である。さらに、彼自身がその理想とするプレーをトレースできなくなってきたとすれば(それは海外におけるプレーで歴然としているのだが)、一匹狼である彼の居場所はなくなって当たり前だろう。現実を見ずに理想を見た、それがナカタの美学であり、失敗であった。

偏屈先生も、いつまでも一匹狼の偏屈じゃだめですよ……という天からメッセージが聞こえてくるようだ。他人の振り見て我が振り直せ。ナカタは金持ってるから引退もできるのだが、偏屈先生は死ぬまでロバのように働き続けるのがオチなのだ。嗚呼、限りなく老後は暗い。

関係ないが、どっかの国にミサイルでも落としてもらいたいくらいですよ。……いや、そんなこと考えなくても、どうせ8発目がヨコスカに飛んでくるのだろうけどさ。

追記:小橋といい、王さんといい、なんで好きな人が次々と……。頑張ってください。負けないでください。

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