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2008年7月 7日 (月)

It's not the cutting edge.

まあ、『edge』の話の続きである。

ひとつの事実がある。
この曲の試聴が解禁になったのが、先週のこと。同時に、ネットに『edge』を違法アップする者が現れた。その結果どうなったか。
ある動画サイトでは、その「作品」が一日半で17,000の再生数を稼いだ。ほぼ同時に、Amazonのベストセラーランキングの「音楽」で『love the world / edge』が1位になった。
何故か? ネットで『edge』を聴いた者が、いきなりAmazonで予約に走ったからだ(まだこのシングルは売っていないのである。8日とか9日とか言われているが……どっち?)。
アメリカのファンサイトでは、あまり評判が良くないと書いたが、実際、今でも手放しでほめられているわけではない。suckとか書いている者もいる。しかし、ここ数日はちょっと変わってきていて、Perfumeの最良の曲と主張する者も出てきたりしている。
日本はどうか? はっきり言って気持ち悪いくらい大絶賛大会である。そうだな、賛辞が98%、否定が2%というところか。
確かにこの曲は凄い。昔からの音楽通は、DaftPankだとか、古くさいトランスだとか言うが、要はこの曲を聴くリスナーには「新しく聞こえる」という事実だ。実際、この曲のある部分に差し掛かると、確実に鳥肌が立つ。何度聞いても立つ。そういう中毒性の高い曲なのである。

この歌には、TrapとかTrickという言葉がやたらと出てくる。それこそ、曲全体に何かTrapが仕掛けられている感じなのだ。
中田ヤスタカというMusicianは、やたらと謎かけ……例えば、いやらしい韻の踏み方……をしてくる男だ。例えば、彼のユニットであるcapsuleで一番有名な歌『Sugarless GiRL』では、「罠」というキーワードを与えておいて、次のフレーズで唐突に「wonder girl」という言葉を挟んできたりしている。これが「罠が」に聞こえるように仕掛けているわけだ。
同様の罠がこの『edge』にも満載である。
まず最初。「だんだん好きになる、気になる、好きになる」がそもそも「ダンス」に聞こえるし、次のフレーズを英語の歌詞にして、「だんだん」を「down down」に当てている。
また、「誰だっていつかは死んでしまうでしょ」と言っておいて、続く歌詞で「だったらその前に私は一番硬くて尖った部分をぶつけて」と続け、次に「shinuwa」と歌うのだ。この流れではどう考えたって「死ぬわ」だと思うではないか。ところが実際は「see new world」だそうで。上手い! 山田君、座蒲団一枚あげて。

あと、音圧の上げ方が半端じゃない。クレッシェンドとか言ってるレベルじゃないのだ。サビのメロディを一度目はスカスカの音にしておいて、リピートする二度目の繰り返しでぐわーっと盛り上げてくるのである。まるでバッハのフーガである。まあ、そこまで言うと嘘になるが。
とにかく、中田先生の力の入れ方がすごい。TVブロスによると、中田先生は自分で歌を入れたデモを作ってPerfumeに聴かせたらしい。そんなことはPSPS以来だそうで(しかもこの時にのっちが風邪を引いていて、他の2人と一緒にレコーディングしていないとか)。

では、この力作に対する偏屈先生の評価はと言うと……微妙だ。このシングルは確かに素晴らしい。しかし、最先端の音楽かと言われれば明確にそうではないし、では一般受けするかと言われれば必ずしもそうでもないのだ。今週はいきものがかりとか、強力な競合がシングルを出してくるので、オリコン1位はどうだろうか。別に1位じゃなくても問題ないのだが、先生は1位を取ってほしいのである。だいたい、ここまでやっておいて1位を取れなかったらアミューズの面子も丸潰れではないか。

結局、この『edge』は『love the world』と裏表の関係で相互に補完し合う関係のような気がする。『love the world』が陽なら、『edge』は陰。実は世界観はほぼ同じで、表現方法で光と陰を作り出し、1枚のCDに立体感を演出しているのではないだろうか。そういう意味で、この作品が「前」に出てくることも、一般の音楽ファンに浸透することもないだろうが、「傑作」であることは断言できる。

ただし、この2作品でPerfumeの「次」が難しくなったような気がしてならない。アイドルの看板を下ろすのか? ミュージシャンになるのか? そうなったら、いつまでも中田ヤスタカの傀儡ではとどまれなくなってしまうかもしれない。それが良いことなのかどうかは、この『love the world / edge』の売れ方次第といったところだろうか。

※余談だが、なんと『edge』にはタイアップが付いているらしい。コーセー化粧品のFasioだとか。へー、こんな危ない曲を使うメーカーがいるとはねぇ。なんで『love the wrold』ではなく、『edge』に? コーセーの人、ちゃんと歌詞読んだ?

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