夜桜異聞(嘘)
KQの話でもしようか。
KQには2000系とか1000系とか、複数の型の車両がある。
この内の一部が、発車するときに「トゥ~ルルルルウルル~(シューワーァァァァァァァ)」とメロディを奏でるのである。
昨日初めて知ったのだが、「歌う電車」とか呼ばれているそうな。
発車時に音が出る理由は、モーターに電気が流れる際に、独国シーメンス製のVVVFインバータが鳴るのだとか。このインバータは音がうるさいので静音設計を試みたが上手くいかず、どうせ音が出るならいっそのことメロディにしてしまえと技術者が考えたらしい。ナイスなアイデアである。
で、この音の出る車両は2100系と呼ばれるもので、二人席が進行方向に向かってずらっと並ぶ壮観な仕様になっている。KQは基本的に特急でも特急料金を取らない(ウィング号という例外はあるが)ので、この車両の快適さは、ちょっと嬉しいものである。
先日、この2100系の車両について、おぼろげながら疑問に思っていた事実が急に氷解して感激したことがある。それは、常に椅子が進行方向を向いているならば、電車自体がどこかで180度転回するか、椅子そのものが回転するかどちらかのはず、それはどっち? というものだった。別に熟考せずとも答えは明らか。椅子が回転するに決まっているではないか。
では、どう回転するのか? 新幹線の椅子が回転する様は非常によく見かけるが、KQでは皆無だったので興味津々であったが、何のこたぁない、椅子の背もたれが反対側に倒れる仕組みだったのである。道理で、前の席のシートバックが妙にえぐれていたわけだ。つまり、背もたれの裏と表の両方が背中に当たる造りになっていただけのこと。
なぜこれがわかったのかと言うと、ある酔っ払いの一団が向かい合って話をしようとして、無理やり(なぜ方法を知っていたのか疑問だが)背もたれを反対側に倒して、4人座りの席を作ってしまったのを目撃したのである。
凄いのは、車掌が速攻で飛んできたことである。血相を変えて「なんてことするんですかっ!」と叫んだ彼の勇姿が、今でも偏屈先生の瞼に浮かぶ。何か、よほどやってはいけないタブーだったみたいですよ。4人組はメチャ怒られてましたもん。
今、偏屈先生はKQ社内でこのコラムを書いているのだが、そうこうしている内に、横浜もすぎて黄金町にさしかかっている。この辺りでKQと並行して流れる大岡川は、夜桜の名所として有名なところだ。
ただし、東京ではそろそろ満開に近い桜も、ここではまだ3分咲きといったところか。
桜はまだでも、酒飲みは全開だ。現に、先生の周囲は酔っ払いだらけ。今も酔っ払いのクソジジイが全身から気持ち悪い臭いを発散させて、こともあろうに先生に寄りかかっているではないか。
肩が重いんだよ! しかもイビキがうるせぇよっ!
クサイ、オモイ、キモチワルイ。
酔っ払いなんか、皆死ねばいいのである。
まあ、酒の飲めない先生は彼らから見れば小数派の異分子。こうやってマイノリティは社会から迫害され、基地外扱いされていくのである。
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