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2009年9月19日 (土)

想い出のAbbey Road

一般の人はどうだかわからないのだが、偏屈先生の周囲の「巷」はThe Beatlesの全アルバムのリマスター盤の発売で燃え上がっている。
その多くのケースでは、二種類のBoxセットのうち、どちらを購入するかが興味の対象になっているようだが、昔からケチで「大人買い」のできない先生としては、大枚をはたいてあまり興味のない初期の作品まで全部入手するような愚を犯すつもりはさらさらない。まあ、40年以上も前の作品でまた一儲けしようと企んでいるレコード会社の戦略に、うまうまと乗っかるのはいかがなものか、ということである。

偏屈先生はものすごくThe Beatlesが好きである。好きではあるがマニアではない。汐留某社で苦闘を重ねているS氏のように、ブートレグまで手を伸ばす勇気はないし、そもそもオフィシャルなレコード(CD)を全部持っていない(メロディは知っているが、曲名と結びつかないナンバーが多々ある)。

以上のような理由で、Boxセットの購入は見送り、まず一枚見本購入してみることにした。
問題はどのアルバムにするか、ということだ……が、実は答えは見えている。
『Abbey Road』しかないじゃないか!

先生の嗜好は中期~後期。まあ、『Rubber Soul』以降ということになる。つまり、『Rubber Soul』『Revolver』『SGT』『Magical Mystery Tour』『The Beatles』『Yellow Submarine』『Abbey Road』『Let It Be』が選択肢だ。
もしリマスターで音が劇的に変化したのであれば、『SGT』辺りは面白いかもしれない。が、正直このアルバムを聴くのは体力がいるので、今の弱体化した偏屈先生では無理。通称White Albumの『The Beatles』も面白そうだが、二枚組で高価なため没。『Magical Mystery Tour』は、オリジナルを持っていないので比較できず論外。『Let It Be』は音が良くなる意味が無いと思うので初めから考慮せず。
つまり、『Abbey Road』しかないのである。

この『Abbey Road』という作品は,先生にとってとても大切な存在だ。
想い出は数尽きないし、何度聞いても感動してしまう。もちろん、最初にイギリスに行ったときも、例の横断歩道を渡りましたよ! 田舎モノと思われそうだが、あのポーズで写真も撮りました! Abbey Road Studioの外壁やドアは、世界中のファンのイタズラ書きで埋め尽くされているし、平々凡々などこにでもある横断歩道し、道路のセンターラインはジグザグに直されているし、冷静に考えればがっかりすることだらけだったが、それでも遙か昔にFAB4がここに居たという想いが、時を超えて妙な一体感をもたらしてくれたことを覚えている。

そんな想い出深い作品が、デジタルリマスターでどう変わったのだろうか。
Amazonから届いた郵便物を見た瞬間、包装をバリバリ破いて、早速聴いてみることにした。

<鑑賞中。曲目は以下の通り>

1. Come Together
2. Something
3. Maxwell's Silver Hammer
4. Oh! Darling
5. Octopus's Garden
6. I Want You (She's So Heavy)
7. Here Comes the Sun
8. Because
9. You Never Give Me Your Money
10. Sun King
11. Mean Mr. Mustard
12. Polythene Pam
13. She Came in Through the Bathroom Window
14. Golden Slumbers
15. Carry That Weight
16. The End
17. Her Majesty

<鑑賞終了>

……何が変わったの?
Amazonのレビューが言うほどのことはない、というのが正直な感想だ。
まあ、旧盤と聴き比べれば違いは歴然なのだろうが、オリジナルの音自体が悪くないので、それほど大きな差があるとは聞こえなかったのだ。
一番「違うな」と思ったのは、17の女王様に捧げる冗談ソング。オリジナルも右から左に音が流れていくんでしたっけ? Panasonicのカセットレコーダーでは、そうは聴こえなかったがなぁ。
でも、きっとクリアになっているのだろう。そう思えば、1なんか深みが増した気もするし、2も各楽器のパートが聞こえるようになったようにも感じられるし。
とりあえず、デジタルリマスターの価値はあった(ような気がする)。
でも、たぶん、Boxセットは買わないだろうな。

今回の新盤を聴いて感じたことを書いておこう。

この『Abbey Road』は、ファンの間ではとても人気がある作品で、この前のYahoo!のビートルズ人気投票でも第一位だった。ただし、音楽関係者……いわゆる玄人の評価は意外と高くない。その差違がどこにあるのかと言えば、たぶん、『Abbey Road』には実験がない、「まとめ」によって成立した作品というバックボーンだと思う。
実験的要素であれば、中期のサイケアルバムに劣るし、録音の緻密さで比べれば『SGT』に勝てない。各作品そのもののパワーも、実はそれほどではない。
それより何より、これが実質的にポールとジョージ・マーティンの作品だからだろう。
ジョージはこの作品で『Something』『Here comes the sun』という珠玉の名作を残してはいるが、メドレーを始めとした「ポールの流れ」とは明らかに違うところにいる。ジョンは一歩引いた感じでマイペースを……というよりヨーコと築きあげつつある自分の世界を……キープしている感じ。
異様に頑張っているのがリンゴとポール。特にこのデジタルリマスター盤で聴くと、ポールのベースが全編で唸りまくっているのがわかる(リンゴのドラムも凄いけどね)。
ポール贔屓の偏屈先生としては、そこがたまらないのだが。

でも、この時期辺りから神聖視され、聖人に祭り上げられていったジョン贔屓から見れば……そういう評論家が多いのだけれど……この作品は、ジョンの言うように「生気のないアルバム」に見えるのだろう。

ああ、でも、よく言われることだけど、9からの流れはいい。特に、14の『Golden Slumbers』を聞いていると、ポールの叫びに胸が張り裂けそうになる(この歌がメドレーに入っているのは、ちょっと変だけど)。偏屈先生には、ここからがThe Beatlesというあまりに偉大な存在へのララバイに聞こえるのだ。
初めて聴いた子供の頃には見えなかった「情感」みたいなものが、しみじみと心に染み入ってくる……。

なんか、この歳になってくると、当時のポールの苦闘苦衷がわかるんだよね(でもポールは30歳前でしかなかったのだが)。
それはそれで、困っちゃうんだけど……先生にとって、人生って『Abbey Road』だったのかもしれない。

ま、結論としては、デジタルリマスター盤……お金が余ってるんなら良いんじゃない?
音は良くなっても、想い出はリマスターできないから。

そんなとこ。

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