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2013年12月 3日 (火)

「きわぐろ」じゃありません その3

やっと「きわぐろ」の話ができる日がやってまいりました(笑)。
漢字で書くと「極黒」。正確には「ごくこく」と読みます。
もうわかりましたね(いやいや、誰も知らないから)。
週刊ヤングジャンプで毎度おなじみ渋々連載で大好評のマンガ、岡本倫『極黒のブリュンヒルデ』の話題でございます。

なんでこれが「きわぐろ」なのかと言うと、誤読している人が多いから。
ほら、よく日本料理屋とかで難しい漢字を店名に使ったり、ひらがなを妙に崩して表記して何ていう店なのか誰もわからなかったりすることってあるじゃないですか。まあ、アレに近いかと。愉々家(ゆゆや)なんか、マジでネット検索してしまいましたよ。

で、なんでこの話題になるのかというと、グローバル規模で誤読されているから。
インターネット上でかなり有名なMANGAサイトにmangapanda.comというものがあります。多分違法なんですけど、日本の漫画を勝手に英訳して凄いデータベース化して公開しているサイトです。既発表の作品だけでなく、なぜか発売前のジャンプの作品が載っていたりして……某死神マンガなんか月曜発売なのに、その前の週の水曜の午後(日本時間)には英訳版がアップされてますもん。
日本でも前週の土曜日にジャンプを売ってる店はあります。雑誌は地方から配本されるので、木曜には配送が始まっていたとしてもおかしくはない。逆算すれば水曜日には刷り上がっていても不思議なじゃないのですが、例のサイトの場合は日本時間の水曜日には吹き出しの中のセリフが英語になっているだけじゃなく、一部をレタッチし擬音まで変更してたりするんですよ……水曜日に。日本時間の水曜の午後って、アメリカならば火曜日の夜じゃないですか。一体こいつらはいつ原本を入手しているんだと思いますよねぇ(このサイトの国籍は不明。内容から見て多分アメリカではないかと。ただし英訳スタッフには日本人らしき名前もあります)。

で、このサイトが例の誤読を盛大にやらかしております。
少年誌・青年誌のマンガはたいがい掲載されてますし、一応ヤンジャンというメジャー雑誌に載っているわけですから、偏屈先生は「どんな塩梅かなー」と思ってタイトル検索で探してみたわけですよ。当然、「gokukoku no brynphildr」と打って。そうしたら、見つかりゃしねぇ。頭文字が「g」のマンガを頭から辿ってみましたが、それでも見当たらない。
岡本倫という漫画家は、前々作の『エルフェンリート』で全世界的に知名度を向上させた人。だから国内よりもむしろ外国の方が知られてるんじゃね?くらいの感覚だったので、こんな巨大MANGAデータベースにない方が不自然です。そこで必死になって著者検索を掛けてみました。そうしたら……ね、もうおわかりだと思うのですが、『kiwaguro no brynhildr』として登録されていたんですねー。残念。

連載前に本人がTwitterで「ごくこくと読みます」と発言してますし、コミックスの後書きにも「ごくこくです」とちゃんと書いてあるのですが、mangapandaのスタッフはそれを知らなかったみたい。しかも、普通はコミックスにローマ字表記されていたりするんですが、この作品に限っては「Brynhildr in the Darkness」という英語表記になっているため、中途半端に日本語のわかる翻訳者が「きわぐろ」って読んでしまったんでしょうね。
余談ですが、この「Brynhildr in the Darkness」という英語表記も中途半端かと。「極黒」のニュアンスを出すならば、deepestとかの形容詞を付けて「極」のイメージを強調した方がいいような気がするのですが……まあ、その辺は固執しませんけど。

そんな次第で、この作品がいかに軽視されているか一目瞭然かと(笑)。なにせ、最後に英訳されてから10話以上が経過しているのに、全然翻訳が更新されません。ジャンプの人気マンガと比べると、この半端っぷりったら……。

でもね、この作品は地味に面白いんですよ。本当にお薦めです。
作者は有名なガノタ(ガンダムオタク)らしく、最近のメカとかの描写もそれっぽい感じがします。
『エルフェンリート』のときは「描写が……」というよりも、「まずちゃんと絵を描けよ」レベルだったので、メカ云々以前の問題だったわけで。だって、Amazonの書評で有名なホッカルさんにも「絵はアレだが……」と書かれたくらいにアレでしたから(笑)。『進撃の巨人』以下の作画力で萌えとグロを書きまくっておりましたが、何せ絵がアレなんで首チョンパを描いてもまったく怖くない……それってどうなんだと思いますよね(コミックスの8巻辺りからMacを導入し、アシの質が向上したため、飛躍的に上手くなってしまったのが残念)。

ただし、ストーリーテラーとしては一流で、他のマンガ家に原作を提供していたりもします。しかも、そっちの方が自分の作品よりも売れていたりする悲劇のマンガ家です。

でも、いろいろと取柄もあるのです。
まず、真面目。真面目さがマンガ家として必要なのかどうかは微妙ですが、Macで作品を描くこともあって、週刊連載時には描き足りなかったり舌足らずだった部分をコミックスですごーく修正しています。修正というよりは、もう書き直しに近いかな。ページを増やしたり、ストーリーを変えてたりもします。最新作もそうですけど、『エルフェンリート』の最終巻なんて、20ページも追加しているくらいです。
『極黒のブリュンヒルデ』もコミックス化する際に、相当修正されてますね。例のmangapanda.comは週刊連載時の原稿を英語化してますので、それとコミックスを見比べると面白いですよ(ちなみに、作品によってはコミックスを英語化してます。エルフェンはそうでした)。

このような努力を重ね、メジャー雑誌に連載されているにも関わらず、知名度はいま九つくらいの岡本倫ですけど、世の中にはわかっている人もいて、あの冨樫義博もファンだとか(岡本「が」じゃなくて岡本「の」ファン)。真面目にコミックスを修正しまくる岡本を、鉛筆殴り書きをそのままコミックスにしてしまう厚顔無恥の冨樫が敬愛してるっていうのも皮肉ですねー(自分にはできないから好きなのか?)。

肝心の『極黒のブリュンヒルデ』ですが、例によって可愛い女の子がいっぱい出てきて、ひとりの男の子と一緒に行動します……もうハーレム状態(笑)。
エルフェンでは一部の女子に角が生えています(ラムではない)が、今回は全員魔法使いです。しかも日本国がバックにいる秘密の研究所から逃げ出してきたりして……エルフェンとまったく同じやんけ!
なにこのマンネリ感? 水戸黄門に通ずるカタルシス。

でもでも、面白いんです。騙されたと思って一度コミックスをご覧ください。現在6巻まで発行されております。ただ、残念なことにあまり部数が出ていないのでブックオフに行ってもほとんど見かけません(エルフェンも)。代わりに『ノノノノ』というスポーツマンガが大量に置いてある場合がありますが、それは黒歴史なので見なかったことにしてください。

ぜひお願いします。

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